第3話

 水族館は一人500CFP。併設しているレストランで払う。どっちかっていうと水族館が併設しているのか。ともかく水族館への桟橋を渡る。透明な海が広がり綺麗な魚が泳いでいる。途中観光客であろうと思われる白人カップルとすれ違う。いざ海中へ。サメの口の形をした入り口から潜るのだが入ってみて唖然とする。全長10mほどの海底展望室があるのみ。これならば海の上から眺めてる方がよっぽど楽しい。ここに来るまでに何人かに水族館について尋ねたが、殆どの人が「あんなところにわざわざ行くのか」という気持で答えてくれたことだろう。そう思うと恥ずかしい。
 表に出て帰りのバスを待つことにする。ところがさっきすれ違った白人カップルもまだ待っているようだ。あれから15分以上経っているのに何故。時計を見てみるとPM5:00をまわっている。そういえばガイドブックにはPM5:00を過ぎると帰る方面行きはほぼ終わり、と書いてある。仕方なく来るのを信じて待つことに。反対方面行きは5分に一台ぐらいは来るのにこちらは全然来る様子もない。しゃがみこんで待っていると日本人が珍しいのか車に乗った人によくじろじろ見られる。反対方面行きのバスも申し訳なさそうに行ってしまう。白人カップルと待つこと約1時間、ようやく向こうからやってくるル・トラックを確認することが出来た。必要以上に手を振るわれわれ、パッシングをするル・トラック、それはまるで映画にでてくる再開のシーンのようであった。
 帰りのバスは人もまばらで風も涼しく快適だ。今度は終点まで乗ってればいいのでどきどきすることもない。パペーテに帰りつくとまだPM7:00になっていないのに町は完全に眠っている。開いているのはレストランのみ。テイクアウトの店でミネラルウォータだけを買いこみホテルに戻る。

 さていよいよ夕飯である。これだけは来る前から楽しみにしていた。ホテルの迎えにある港にはルロット(Roulottes)という、車の荷台を改造した屋台がたくさん出るからだ。早速行ってみると確かに多くのバンが並んでいる。だいたい中華かステーキかクレープといった感じだが、肝心のメニューが読めない。うろうろしていたところアジア系のおじいさんが日本語メニューをくれた中華屋台に決める。MALはChaoMen(チャオメンもしくはシャオメン)Special、U-wiは普通のChaoMenを注文する。ChaoMenとは簡単に言えば五目ヤキソバのことであるが、出てきた量が尋常ではない。日本で言う特盛といった感じで女の子では決して食べきれる量ではあるまい。勿論MALがU-wiの残りもたいらげたが。ちなみにスペシャルと普通との違いは海老がのっているかどうか、ということだけである。料金も800CFPと700CFPとかなりリ−ズナブルだが、ルロットでアルコール類を販売するのは禁止されているのでビールに合いそうな料理、気候でも飲むことは出来ない。

  食べ終えたわれわれはそのまま港を少し歩いたあとホテルへと帰った。MALは一休み、U-wiは慌ててシャワーをしている。22:30にロビーに集合し出発しなければ行けないからだ。時間が来てロビーに下りるとそこにはこれからイースター島旅行を共にするA夫婦がいた。お互いにロビーにて記念撮影をしているとようやく迎えの車がやってきた。

 再びファアア空港に来たわれわれは搭乗手続きを済ます。イースター島に行く人間なんてきっと少ないので飛行機も小さなプロペラ機なのではないかとずっと思っていたし、日本でも周りのみんなにそう言われてたから搭乗手続きをする人数の多さに少し驚いた。さらにラン・チリ航空LA834便に乗りこむ際になめていたわれわれは面食らった。ジェットエンジンを積んだジャンボ機である。よくよく考えてみるとこの空路はイースター島に行く為のものではなく、チリのサンティアゴに行く為にイースター島を経由するだけなのだ。チリとタヒチをつなぐ主要な便なので大きくて当然なのである。
 AM 0:45発の飛行機だが0:05から搭乗できるので早速乗りこむ。いよいよ夢見ていた島に旅立つ時が来た。離陸する時には興奮していたが30分後には困った事になっていた。チリの出入国カードと手荷物内容(?)記入カードを手渡されたのだが全く書き方が分からない。何故ならそれはスペイン語だから。いや、出入国カードは旅行会社にもらった旅のしおりにそれに近い記入方法があったので何とかなったが、もう一枚の方はどうしようもない。なんとなく雰囲気で書いていったがやはりどうしても分からない場所があり、A夫婦とも相談しながら書くしかなかった。「持込を禁止している果物や植物、動物を持っているか?」という質問が、「持っているか?」と書いているのか「持っていないか?」と書いているのか分からずYESと答えるのかNOと答えるのか最後まで悩んだがとりあえずYESに丸をしておいた。
記入を終えた安心感から、その後流れる洋画も気にせず明日を心待ちにしながら短い眠りへと落ちていった。長い長い10月5日が終わった。

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