第2話

 部屋掃除のおばさんのノックで目覚め、気がつけばAM11:00。文句を言いながらもよく寝たものである。今日1日をどのように過ごすか、全く無計画であったわれわれはとにかく街に出ることに。

 持ってきている現金はUSドル(US$)10万円分とフランスフラン(FF)10万円分。こちらの通貨はフレンチパシフィックフラン(CFP)。大体1CFP=\1.19ぐらいである。FFからCFPに両替する方が円から両替するよりレートがいい、と事前に情報を得ていたのでこういう持参金になったのだがとりあえずCFPに両替しないと、と思い銀行へ。ところが銀行は昼休み。表においてある自動両替機も動かない。周りの店も昼休みをとっているところが多い。大体12:00〜13:30までが昼休みのようだ。
 どうすればいいのか悩んだものの空腹感は我慢できず、ともかくマクドナルドに行けばUS$でも通じるかもしない、という何の根拠もない理由でマクドへ向かう。ただしそのままレジに並ぶのも恐いので表にいた店員さんに思い切って質問。「ドルOK?」と思いっきり学のなさを披露してみると困った顔をされるが、横にいた学生風の女性が察してくれたらしく「US$ならば大丈夫」みたいなことを言ってくれた。恥ずかしさを隠し切れぬままレジに向かうが、そこでもつたない英語に苦笑され、中国人と間違えられニヤニヤするしかない二人であった。アジア以外の人にとってアジア人といえばやはり中国人なのだろうか。ちなみに現地語はタヒチ語とフランス語だが、われわれにはつたない英語しかない。
 やはり日本よりも量が多い昼食を取りながら通りを眺める。ここは座席の半分がオープンテラスになっており、われわれはそこで食事を取った。走っている車はプジョー、ルノーが圧倒的に多い。やはりこの国はフランス領である。日本車は思ったよりも少なく、よく見かけたのがスズキのエスクード。ダイハツ車も結構走っていた。ホンダ、トヨタは殆ど見かけず、日産にいたっては一台も見なかった。

 不思議なことが二つあった。一つはパペーテの人について。平日の昼間だというのにかなり多くの人が溢れかえっている。決してビジネスマンのようには見えないのだがこの人たちは一体何をしているのだろうか。もう一つは日本人について。行きの飛行機では日本人で満員だったのに一体どこに行ってしまったのか、と思うほど出会わない。やはり高級ホテルの中に閉じこもっているのか、有料アクティビティに出かけたのか、それとも他の島に出かけたのか。とこかくこの疑問は最後まで解けることはなかった。

 どきどきした昼食を終え(U-wiはドリンクの中の氷にもどきどきしていたが)再び銀行へ。建物自体は大きいのに窓口は2ヵ所のみ。前の人がやたらと時間がかかっていたがなんとか無事に両替完了。結局この方法が得だったのか損だったのかはわからずじまいだった。とりあえずU-wiが現地の切手が欲しいというので郵便局へ。
 この人は国内でも必ず旅行の記念に切手を買う。郵便局は冷房も効き非常に綺麗な施設である。待ってましたとばかりにいろんな切手が壁中を飾っている。色々な物に目を移らせながらも2,100CFPも買いこんでしまう。記念に郵便局前でも写真撮影。

 次にどこに行こうかとふらふらしているうちにマルシェへと迷い込む。ここは地元の人が買いに来るような広大な市場。実際、1階には果物や野菜、魚などが並び見てるだけでも結構面白い。見たことのないものもあるし、「何でバナナがこんなに小さいんや」と思ったりもする。さすがにここで買うものはなかったがさらに2階へと上がってみる。そこは1階とは逆にみやげ物屋が所狭しと並んでいる。貝殻を使ったアクセサリー、木彫りの民芸品、パレオ、この3つが王道のようだ。さらには灰皿とか絵葉書とかカレンダーとか。気になったのはどこに行ってもあったマウスパッドだが、パッケージには日本語で「マウスパッ」っと書かれてある。ただそれだけの為に食指が動いたが冷静さを取り戻しそれに手を出すことはなかった。そういえばここにはTATOO屋もあった。旅の記念にTATOOっていうのもこじゃれてていいかもしれない。結局冷やかしただけで何も買わずに表に出たわれわれは、別の店でミネラルウォーターを購入。

 トイレに行きたくなったのとカバンからリュックに変えたかったのもありいったんホテルへ。そこで今後の作戦を練る。現在時間はPM3:00をまわったところ。今からだったらどこに行けるのか、考えてみたもののパペーテって観光するところ少ない。そりゃ足をのばしてタヒチ島観光という観点から見れば少しはあるがもうこんな時間なので近場しかない。ガイドブックを眺めてみると「水族館(Lagoonarium)」というものが空港からさらに11km向こうにあるようだ。天然の環境を利用したものでは世界最大らしい。なんと海の中にあるのだ。もうここしかない。
 しかし行き方がわからないので「TAHITI NUI TRAVEL」の事務所へ。ここに来れば日本人がいるだろうと思ったが残念ながらいない。仕方なく英語で聞いてみるとル・トラック(Le Truck)かタクシーで行け、とのこと。タクシーなんて贅沢はしたくないしル・トラックには興味があったのでそちらを選ぶ。早速、始発場所に向かうがそこでは反対方面行きしかない。運転手に尋ねてみるとどうやら空港方面行きは裏通りに停まっているらしい。そちらに行くもののやはり空港より向こうに行くものは少ないらしく、大き目のル・トラックに乗りこむ。

 ル・トラック・・・タヒチの運行時刻表無しの言ってみればバスだ。トラックの荷台を改造したものに乗りこみ、降りる時はブザーを押して知らせる。一応街中では停留所はあるが郊外に出ると広くなっているところがその代わりであり、停留所ではなくても手を上げれば停まってくれるみたいだ。運賃も政府が管理しているようで空港までは120CFP、水族館までは140CFPであった。降りた後、助手席の人に渡す。

 座席もほぼ満員になり出発。パペーテ市街では渋滞の為なかなか進まないが、そこを抜けると順調に進む。途中何人かを拾い満員になるものの誰も降りない。空港を過ぎるとぽろぽろと下車する人が出てくるがそろそろどきどきしだした。そう、降りる場所がわからないのだ。パペーテ市街の詳細な地図ならば持っているがそこを離れるとガイドブックの大きな地図しかない。途中目印になる店の名前が載っているがそれを見失わずに下車することができるか、それが問題だ。一応運転手には乗りこむ時に水族館行きかどうかは聞いてあるので彼は知っているはずだ。しかし不安である。
 一度それらしいところに停まった為、隣の男性に「Laggonarium?」と聞いてみたところ無視されたが、正面に座っている男性が「違う」というのを教えてくれた。この人に頼っておけば安心だ、勝手に決め付けながらも窓の外を眺め店の名前をチェックする。少し手前の店は確認することが出来たのでもう少しだろう、と思っていたところル・トラックが停まり男性がここだ、と教えてくれた。どうやら運転手も覚えてくれてたようである。無事料金も支払いいざ水族館へ。

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